テストの秘密

あなただけの学習法を創り出すために
とことん集中できる環境でがっつり勉強させる専門家、
“さみー”こと教室長の鈴木です。

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先日、とある塾の先生方と集まったときに
UPテストと北辰テストの差についての話がでました。
(ともに埼玉県の高校入試で中3が受験することの多い模試)


UPテストは今年度の県立入試学力検査から採用される
「学校選択問題型」の試験です。
(*いまのところ、
和光市の中学生が学校で受ける「南部テスト」と
昔ながらの業者テスト「北辰テスト」は
学校選択問題型になっていないようです。)


そこで何が話題になったかというと
北辰テストで偏差値70台の子が
UPテストで50台になった子がいたというのです。


もちろん、
そのときのコンディションなどもあるので一概にはいえませんが、
多くの塾ではUPテストと北辰テストでの偏差値のズレというのが
よくみられるようです。

「学校選択問題」は英語と数学ですが、UPテストの問題を見る限りだと国語・理科・社会の記述問題も北辰テストとは少し傾向が変えてあるように見えます。少なくても理社は試験時間が50分に増えますし、県の方針を踏まえると5教科すべてにおいて記述力や読解力というものを求めてくるのかなと思います。そのため、浦和・浦和一女・大宮・市立浦和・蕨・浦和西・川越・川越女子・所沢北・和光国際・川越南といった公立高校を受ける予定の生徒さんは一度UPテストを受けてみることをオススメします。



それだけではありません。
学校の定期テストで点数が取れていても
入試では全然取れなかったり、
UPテストや北辰テストといった模試の結果が悪くても
入試で合格する例もあります。


そういえば、
ぼくが学生の頃に予備校の先生から聞いた話に、
早稲田大学に合格したからといって
日本大学に合格できるけではないというものもありました。
(一般入試の場合)




では、なぜこういうことが起こるのでしょうか?




これは考えてみれば当たり前のことなのですが、
学力テストというものは「測定学力」をみるものであり、
いわば"ものさし"のようなものです。


ものさしの種類が変われば出てくる値が変わるように、
テストも種類が変われば出てくる成績も変わってくるわけです。


そして特に入試や模試といった学力テストのやっかいなところは
測定しているのが「知識の量と質」であるという点です。


これはつまり、テストが出している問題に対して
量的・質的に自分の知識がどれだけカバーできているのか?
つまりカバー率によって点数が左右される可能性が高いということです。


量的・質的なカバー率というのは
わかりやすくいうとこういうことです。


例えば1000個のうちランダムに100個の漢字テストをするときに
No.1〜No.300を覚えているAさんと
No.301〜No.1000を覚えているBさんでは
当然700個覚えているBさんの方が
得点が高いと予想されます。
これが量的なカバー率です。


それに対して質的なカバー率はというと、
出題された100個が
Aさんが覚えたNo.1〜300から出題されていて、
Bさんがまったく覚えていなかった100個だったという場合、
Aさんの方が得点が高くなりますね。
これが質的なカバー率です。


参考書に「出る順」といったものがありますが、
これは質的なカバー率を高めるための方法ですね。
それに対して「全問題集」みたいなものは
量的なカバー率を高める方法です。




こうした知識の量と質。
特に問題となるのは「知識の質」の方です。

例えば理科の生物については
大学で研究できるくらいのレベルで勉強しているのに、
他は全然という場合。

入試ではおそらくこの子は落ちます。
なぜならテストで求められるのは
そういった専門性ではなく広い一般的な知識の量だからです。

テストの持つこの性質に対して良い悪いの議論は置いておくとして、
(なにを学力とみなすのかという「学力観」につながる話なので
これはまた次の機会にでも…)




どちらにせよテストを受けるときにはどうしても

「テストで出るもの」と「自分の持つ知識」との相性


というものを考えなくてはならないわけです。




だからこそ、志望校に合格したいのであれば
過去問題対策が必要なわけで、
過去問題からテストが求める知識の傾向を知り、
その知識を強化するしかないのです。


どの学校も過去問題を踏襲して入試問題を作成しているのは
そういった背景があります。
出題傾向の形式的な変化はともかく
質的な変化が生じてしまうと、
受験生たちは対策の仕様がなく
とにかく広く大量の知識を入れるしかなくなってしまうからです。


そのあたりを考慮せずに、
つまり「質的傾向」なしにテストを出題してくる大学や私立高校があるのも
否定はできませんが、
そういった学校ももしかしたらあえてそうすることで
受験生たちに広く大量の知識を手にしてもらいたいという思いが
現れているのかもしれません。
そういう意味ではひとつの「質的傾向」になります。


なんにせよ、
入試や模試といったテストにおいては
まず「敵を知る」ところから入り、
必要な準備をして臨むべきであるというお話です。


なので、まだ定期テストしか見えていない人は
ぜひ模試や過去問にチャレンジしてみてください。
むしろ、最初に取り組んでみて
傾向をしってから
「何を学ぶのか?」を考える方が効率が良い場合もありますので。